← ブログ一覧
ファイナンスAI活用

「この借入、増やしていい?」に数字で答える方法

事業を運営していると、つい「もう少し資金があれば…」と思う瞬間があります。設備投資、在庫確保、人員増強など、様々な場面で追加融資の検討が必要になるでしょう。しかし、漠然とした感覚で借入を増やすのは危険です。大切なのは「数字で判断する」ということ。この記事では、あなたの事業が追加借入に耐えられるのかを判断する方法をお伝えします。

キャッシュフロー比率で返済余力を測る

追加借入を検討するなら、まず確認すべきは「本当に返せるのか」という点です。ここで最も重要な指標がキャッシュフロー比率です。

キャッシュフロー比率とは、実際に手元に残るお金(営業キャッシュフロー)が、年間の借金返済額の何倍あるかを示す数値です。計算式は以下の通りです。

キャッシュフロー比率 = 年間営業キャッシュフロー ÷ 年間借金返済額

例えば、毎年600万円の現金が営業から生まれ、借入の返済額が月50万円(年600万円)の場合、比率は1.0です。これは返済できるギリギリのレベル。一般的には2.0以上が安全ラインとされています。

つまり、年間の現金収入が返済額の2倍以上あれば、追加借入を検討する余地があるということです。もし比率が1.0未満なら、現時点での追加借入は避けるべき信号です。

実際の計算では、決算書の「営業活動によるキャッシュフロー」と借入金の返済予定表が必要になります。税理士事務所で決算書を作成している場合、キャッシュフロー計算書を求めることで、この数字を得られます。

負債比率と自己資本比率で経営の安定性を確認する

次に確認したいのが、あなたの事業全体における「借金と自己資本のバランス」です。これが負債比率自己資本比率です。

負債比率は以下のように計算します。

負債比率 = 総負債 ÷ 総資産

例えば、総資産が1000万円で、現在の借入が400万円なら、負債比率は0.4(40%)です。

一方、自己資本比率は「自分のお金がどれくらいあるか」を示します。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産

上の例なら、自己資本が600万円なので、自己資本比率は0.6(60%)です。つまり、負債比率 + 自己資本比率 = 1.0になります。

経営の安定性としては、自己資本比率が40%以上が目安です。これは、あなたの事業の資産の40%以上が自分のお金で成り立っているということ。50%以上あれば、さらに安心です。

追加借入を検討する場合は「今回の借入を増やした後、自己資本比率は35%以上を保てるか」をチェックしてください。もし計画上、この比率が30%を切るようなら、追加借入は控えるべき信号です。

デット・サービス・カバレッジ・レシオで返済余裕度を可視化する

最後にご紹介するのは、融資の審査でも使われる指標**DSCR(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)**です。少し難しい名前ですが、要するに「営業で生まれた利益が、借金と利息の返済をどれくらい楽に賄えるか」を示す数字です。

DSCR = 年間営業利益 ÷ 年間の借金返済額(元本+利息)

例えば、年間営業利益が300万円で、年間返済額(利息含む)が200万円なら、DSCRは1.5です。

銀行融資の審査では、DSCR が1.25以上あれば、かなり返済余裕があると判断されます。1.0〜1.25なら「返済は可能だが、余裕は限定的」、1.0未満なら「返済できない可能性がある」という信号になります。

追加借入を検討するなら、現在のDSCRを計算し、新規借入後のシミュレーションを作成してください。それでも1.25以上を保てるなら、かなり安心です。

数字に基づいた意思決定を

「借入を増やしていいか」という判断は、経営者の勘や希望ではなく、明確な数字に基づくべきです。キャッシュフロー比率、自己資本比率、DSCRの3つの指標をチェックすれば、あなたの事業が追加借入に耐えられるのかが見えてきます。

ただし、これらの数字を正確に計算するには、信頼できる決算書やキャッシュフロー計算書が必須です。特に個人事業主の場合、税務申告書だけでは十分な情報が得られないことも多いです。

非ITのバックオフィスがClaudeで道具を作る過程を発信しています。作った物はデモで試せます。