家計のバランスシートとは — 自分の資産と負債を、1枚にする
「家計 バランスシート」で検索すると、たいてい作り方の解説とExcelのテンプレートが出てきます。項目は埋まります。合計も出ます。それで、そのあとどうするのか。多くの人がここで止まってしまうように思います。
バランスシートは作ることより、同じ基準で更新し続けることが難しい表です。この記事では、何を書くかに加えて、月1回の更新で判断に使える状態を保つ方法まで説明します。
この記事では、家計のバランスシートが何なのかに加えて、作ったあと何をどう記録し続ければいいのかまで書きます。
バランスシートは「今日の写真」です
貸借対照表(バランスシート、B/S)は、会社が決算のときに作る表です。左に持っているもの、右に返さなければいけないもの、その差額が会社の正味の価値。これを個人の家計に翻訳すると、こうなります。
- 資産 … 今持っているお金と、お金に換えられるもの
- 負債 … これから誰かに返さなければいけないお金
- 純資産 … その差額。純資産 = 資産 − 負債
ここで大事なのは、この3つが「今日この瞬間」の話だということです。今月の頑張りでも、去年の反省でもありません。今日、口座を全部合計して、借りているものを全部合計して、引き算する。それだけの写真です。
会社が年に1回や四半期に1回しか撮らないのは、毎日撮っても意味が薄いからです。家計も同じで、月に1枚で足ります。
資産と負債に、何を書くか
迷いやすいのはここです。手取り18万円台の会社員なら、だいたいこのくらいの行数に収まります。
資産
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 財布の現金 | 15,000円 |
| 生活用の普通預金 | 120,000円 |
| 貯蓄用の普通預金 | 350,000円 |
| 証券口座の評価額 | 210,000円 |
| 合計 | 695,000円 |
負債
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 奨学金の残額 | 2,180,000円 |
| リボ払いの残高 | 150,000円 |
| スマホ本体の分割残 | 68,000円 |
| カードの翌月引き落とし分 | 42,000円 |
| 合計 | 2,440,000円 |
純資産は 695,000 − 2,440,000 = −1,745,000円 です。
書き方で迷いやすいところを、3つだけ補足します。
- 車や持ち家があるなら資産に入れます。金額は買値ではなく「今売ったらいくらか」の見当で構いません。中古車なら査定相場、それも面倒なら1年ごとに1割ずつ減らす、くらいの雑さで足ります。自動車ローンが残っていれば、その残額は負債側に別で書きます。
- 保険は、解約返戻金があるタイプなら資産に入れます。掛け捨てなら書きません。
- カードの翌月引き落とし分は、いちばん抜けやすい負債です。使った時点でもう返す約束をしているお金なので、負債に入れます。
純資産がマイナスでも、珍しくありません
初めて計算して、マイナスの数字が出る。これは、かなり普通のことです。
奨学金を借りて社会に出れば、働き始めた時点で数百万円の負債から始まります。車を買えばローンが乗り、スマホを買えば分割が乗ります。20代でこの引き算をして、プラスになるほうがむしろ少数です。
この数字は現在地であって、評価ではありません。−174万円は「あなたがだめだ」という点数ではなく、「今この位置にいる」という座標です。地図で自分の位置を確かめるときに、その位置が良いか悪いかを先に決める必要はありません。
そして、この数字は放っておいても動きます。奨学金を毎月14,000円返しているなら、来月の純資産は他に何もしなくても14,000円ぶん改善します。マイナスの家計にとって、返済は支出であると同時に、純資産を積む行為でもあります。それが見えると、返済の月が少し違って見えてきます。
家計簿だけでは、片方しか見えません
会社は決算で2つの表を作ります。損益計算書(P/L)と、貸借対照表(B/S)です。
- 家計簿 = 個人の損益計算書。今月いくら入って、いくら出たか。期間の話。
- バランスシート = 個人の貸借対照表。今いくら持っていて、いくら借りているか。時点の話。
家計簿が続かなかった経験があるなら、理由のひとつはここにあるかもしれません。家計簿は今月の使い方しか映さないので、奨学金を毎月返して残高が着実に減っていることが、どこにも記録として残りません。頑張った証拠が残らない記録は、続きにくいものです。
バランスシートは逆で、月1回しか触らないのに、負債が減った分だけ数字が動きます。両方あって、はじめて自分のお金の全体が見えます。
Signalarityは、この2つを同じ場所で持つために作りました。月次の資金繰り(お金の出入りの予定)と、資産・負債の記録が1つのツールに入っています。詳しくはできることにまとめています。
作ったあと、続けるための割り切り
ここからが本題です。テンプレートを埋めた人が止まるのは、たいてい次の3つのどれかでつまずくからだと思っています。
1. 毎日更新しない
バランスシートは今日の写真です。今日の残高は明日には変わりますし、そこに意味はありません。月に1回、決まった日に、1回だけ。給料日の翌日でも、月末でも、覚えていられる日ならどこでもいいです。慣れれば5分から10分で終わります。
2. 運用の損益は追わない
証券口座を持っていると、「いくら儲かったか」まで管理しなければいけない気がしてきます。家計のバランスシートには、それは要りません。記録するのは次の2点だけです。
- 元本として、これまでいくら入れたか(入金の累計)
- 月に1回、その日の評価額はいくらか
利回りも、含み損益も、銘柄ごとの成績も、この表には書かなくて構いません。評価額は毎月勝手に上下しますし、それを追いかけ始めると更新そのものが止まります。入れた額と、今の額。この2つで、バランスシートとしては足ります。
3. 全部埋めようとしない
金額が分からない項目が出てきたら、概算でも空欄でも先に進みます。奨学金の残高は貸与団体のサイトで年1回確認すれば十分ですし、車の価値が1万円単位で合っている必要はありません。3か月続いた表のほうが、1回で完璧に作って放置された表より、はるかに役に立ちます。
そして、月1回を続けると、半年後には6つの点が並びます。ここで初めて、バランスシートは表から線になります。
−174万円が、−171万円、−167万円と動いていく。1か月ごとの変化は小さいので、その月だけ見ても何も分かりません。並べると、自分の家計がどちらに向かっているかが見えてきます。
Signalarityでは、月1回の入力から純資産の推移を確認できます。負債を登録しておくと、どの月に何が終わるかの完済カレンダーも出ます。現在の機能はできることにまとめています。
紙でもExcelでも構いません。大事なのは、今日の1枚を作って、来月もう1枚作ることです。点が2つになれば、そこから先は続きます。
この考え方を、自分の数字で持つために
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